
私たちの生活に彩りを与えてくれるペットたち。
「犬」「猫」「ウサギ」「ハムスター」「インコ」――名前だけ聞くととても身近ですが、実はこうした生き物にも**世界共通の“本当の名前”**があります。それが「学名」です。
普段はあまり意識しない学名ですが、その意味や由来を知ると、ペットたちの意外なルーツや人間との深い関係、ユニークな一面が見えてきます。
今回は、人気のペットたちの学名と、そこから見えてくる面白い物語を紹介します。
学名ってなに?
学名は、生き物を世界共通で呼ぶための正式な名前です。
世界中どこに行っても通じる“生き物のパスポート”とも言える存在で、ラテン語やギリシャ語を使った「二名法(二つの名前)」が基本です。
「属名(グループ名)」+「種小名(特徴や由来)」でできていて、たとえば犬の学名Canis lupus familiarisのように、生物の特徴や歴史、発見者の名前などが隠れています。
学名の意味を知れば、あなたのペットを見る目も変わるかもしれません。
イヌ(犬)
学名:Canis lupus familiaris(カニス・ルプス・ファミリアス)
意味:「イヌ属・オオカミ・家族」
犬は古くから人間のパートナーとして暮らしてきました。
この学名を見ると、「lupus(オオカミ)」という単語が入っています。
実はイヌはオオカミの亜種であり、何千年もの間、人間と共に進化してきたのです。
「familiaris」は「家族の」「家庭的な」という意味。
どんな犬種もこの学名が共通で、柴犬でもゴールデンレトリバーでも同じ名前です。
世界中で愛されている犬――その学名にも、人間との特別な絆が表れています。
ネコ(猫)
学名:Felis silvestris catus(フェーリス・シルウェストリス・カトゥス)
意味:「ネコ属・森の・ネコ」
イエネコは「森のネコ(ヤマネコ)」の亜種とされています。
Felisは“ネコ”、silvestrisは“森や林に住む”、catusは“ネコ”の意味。
私たちが飼っている猫にも、野生の名残が今も息づいています。
実際、イエネコのご先祖様は北アフリカのリビアヤマネコ。
人間と共に暮らすようになっても、気まぐれで自由な性格は昔のままです。
「catus」には「賢い」「抜け目ない」という意味も含まれ、そのしたたかな魅力も学名に隠されています。
ウサギ(兎)
学名:Oryctolagus cuniculus(オリクトラグス・クニクラウス)
意味:「穴を掘るウサギ」
ウサギの学名は、まさにウサギの性質を表しています。
Oryctolagusは「穴を掘るウサギ」、cuniculusは「小さなトンネルを作る生き物」という意味。
野生のウサギは自分で穴を掘って巣を作るため、学名にもその暮らしぶりがそのまま込められています。
ペットとしてのウサギも、床をカリカリしたり穴を掘るしぐさを見せますが、それは何万年も前から続く“野生の本能”の現れなのです。
ハムスター
学名:Mesocricetus auratus(メソクリケトゥス・アウラトゥス)
意味:「中くらいのハムスター・金色」
ペットとして大人気のゴールデンハムスターは、「Mesocricetus」=“中くらいのハムスター属”、「auratus」=“金色の”を意味します。
もともとはシリアの砂漠地帯で発見され、最初の個体はたった一匹のメスとその子どもたちから
世界中に広まりました。
今では「ゴールデンハムスター」だけでなく「ジャンガリアン」などいろいろな種類がいますが、
ゴールデンの学名は“金色のハムスター”。
飼っているハムスターの本当の名前を知ると、さらに愛着が湧くかもしれません。
セキセイインコ
学名:Melopsittacus undulatus(メロプシタクス・ウンデュラトゥス)
意味:「歌うオウム属・波模様のある」
カラフルでおしゃべりが上手なセキセイインコは、学名にもその特徴が現れています。
Melopsittacusは「歌うオウム」、undulatusは「波状の」――つまり「波模様のある、歌うオウム」という意味です。
羽の模様やさえずりの美しさが、名前の中にもしっかりと刻まれています。
インコたちの賑やかさは、学名でもしっかりアピールされているのですね。
カメ(ミドリガメ)
学名:Trachemys scripta elegans(トラケミス・スクリプタ・エレガンス)
意味:「(首を)引っ込めるカメ・書かれた・優雅な」
日本でおなじみの“ミドリガメ”は、「アカミミガメ」という名前でも知られます。
Trachemysは「首を引っ込めるカメ」、scriptaは「書かれた」、elegansは「優雅な」――赤い耳のような模様と、甲羅の美しい模様が由来です。
外来種問題で話題になることもありますが、学名を知るとちょっと高貴なイメージに変わるかも?
学名から見える、ペットたちの素顔
ペットの学名には、その動物の特徴や暮らし、進化の歴史、そして人間との関わりがギュッと詰まっています。
また、学名にはしばしば発見者やゆかりの土地の名前が使われたり、動物の見た目や性格がユーモラスに表現されることもあります。
私たちが普段「○○ちゃん」と呼んでいる動物たちも、世界中の科学者たちにとっては「Canis lupus familiaris」「Melopsittacus undulatus」など、立派な“正式名称”を持つ存在なのです。
まとめ ― ペットの「本当の名前」を知る楽しさ
学名というと難しそうに感じるかもしれませんが、その意味や背景を知ると、ペットたちとの毎日がもっと楽しく、深いものになるはずです。
「この子はどんな名前をもらって、どんな歴史を歩んできたんだろう?」――そんな視点でペットを見てみると、きっと今まで気づかなかった新しい魅力が見つかるはずです。
本日も最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
